始皇帝暗殺

―3時間があっという間の歴史絵巻きー

" コトネアスター 花言葉 『統一』 "

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日本、中国、フランス、アメリカの4カ国が総力を結集し、中国映画界最高のスタッフ、キャストが渾身の力を込めて作った作品、それが『始皇帝暗殺』だ。今年の10月に中国に行ったばかりだったので、これも何かの縁だと思い劇場に足を運んだ。

強大な勢力を持つ秦の始皇帝が、戦国の世を生き抜き、中国統治を果たすべく選んだ道は、人間性の喪失であった。その天下統一の過程は、友情や愛情を度外視した残虐非道の戦国地獄絵巻そのものであった。この上映時間3時間以上の中国叙事詩は、わたしの予想に反して時計の針も気にならないほど充実していた。その最大の功績は以下の通りである。

 第一の理由は、秦の宮殿や中国映画、史上最大規模の咸陽宮のセット(建築費は20億円)で繰り広げられる人間模様と中国全土を治める天下統一劇。

第二の理由は、栄華を極めた秦の始皇帝時代の小道具、大道具のリアリティーの追求。全国の旧跡を訪ね資料を収集し、数十時間にわたるディスカッションの末、精巧を極めた画集が出来るほど美術。

第三の理由は、虫や鈴の音色を奥行きのある臨場感で再現する、ハリウッド映画に匹敵するほどの、録音技術のレベルの高さ。

最後の理由に「さらば、わが愛/覇王別姫」のコン・リーの息を呑むような美しさである。中国の歴史を知らなくてもこれだけ荘厳に優雅に映画を作れば、誰もが満足してしまう。

見所となる騎馬合戦シーンは、原始的な惨たらしさ(血のりの使い方)において、『始皇帝暗殺』とメル・ギブソンのスコットランド解放と独立を謳った、1995年アカデミー作品『ブレイブハート』を比較すると、私は前者に軍配をあげることを最後に付け加えたい。

1998年12月