アウト・オブ・サイト
―切れ味がよくないA級映画―

" ポインセチア 花言葉 『幸運を祈る』 "

映画に当たり、はずれはあると知ってはいても、時間の浪費だけは“覆水盆に返えざる”。期待外れの映画をどう観るかを問われる時もある。エルモア・レナードの原作を豪華出演者による共演で作ってはみたものの、中身は緊張感がなく、切れ味もない、緩い映画になっている。主演はアメリカの海外ドラマ『ER』が糸口で、トップスターになったジョージ・クルーニーと「マネートレイン」のセクシー女優のジェニファー・ロペス。
拳銃などの武器を使わず、銀行窓口嬢から現金を奪取し、車で逃走しようとする緊迫感のない演出からはじまったこのお話は、ジャック・フォーリー(ジョージ・クルーニー)がネクタイを投げ捨てるストップモーションから進展していく。逃走用の車は運悪くバッテリーが切れていて、彼はあっけなく逮捕されてしまう。刑務所暮らしも3回目。刑期は30年以上。しかし、ジャックはこのまま一生服役するはずもなく、仲間の力を借り脱獄に成功する。そこに運悪く居合わせたのが、連邦捜査官のキャレン・シスコ(ジェニファー・ロペス)っていうわけ。首尾よく脱獄は出来たものの連邦保安官がいたとは予想外の展開。彼女を車のトランクに押し込み、ジャックも一緒にお邪魔しまーす。その中の密着劇では『俺たちに明日はない』『ネットワーク』『コンドル』の映画の話で盛り上がる?二人は映画のお話をしながら恋愛感情が芽生えるという運びである。(ここでの会話はラスト近くで回収される。ネタバレか!)
物語は細かに伏線を張り巡らせているものの平凡。しかし物語の展開は、随所にジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペスのストップモーションで体言止めし、結構キマっている。ジェニファー・ロペスはただただ美しい。アン・V・コーツ(アラビアのロレンス、オリエント急行殺人事件など)の編集テクニックが冴える。そして、それに応えるようにエリオット・デイヴィス(I am Sam アイ・アム・サムなど)の撮影が素晴らしい。さらに褒めるならば、この映画のベストショットは刑務所の中での囚人のカット。良い表情しているなと思ったら、ルイジアナ州重罪刑務所の本当の囚人だった。このカットが目に焼き付いている。
最後に、監督のスティーブン・ソダーバーグへの期待とプロデューサーのダニー・デヴィートの人望なのか、ナンシー・アレンやマイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソンが友情出演し、映画に華を添えている。
1998年12月



