リーサル・ウェポン4

―テレビ・コマーシャルの功罪―

" マーガレット 花言葉 『信頼』 "

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“リッグスとマータフが帰ってきた”。ワーナー・ブラザースが75周年作品として選んだのは、痛快娯楽アクション・ムービー『リーサルウェポン4』だ。雨のロザンゼルス、火炎放射器を手に完全武装した凶悪犯が、暴れている。駆けつけるのは、ご存知メル・ギブソンとダーニー・グローバーのご両人。完全武装の凶悪犯との銃撃戦は、2人にとって完全不利。しかし、彼らは持ち前のギャグのセンスを武器に、凶悪犯の油断を誘い、みごとに退治してしまう。というのが息もつかせぬ滑り出し。これにはおじさんも参ってしまった。

『タイタニック』以降、映画が再び活況を呈してきて、シネマコンプレックスの力も借り、1998年現在、全国の映画館1800スクリーン強のものが、2000年には2000スクリーンになるとの予想が日経新聞の記事になりました。映画ファンにとって、劇場数が増えるのは喜ばしいことだが、観客動員の為に、むやみやたらに映画のハイライトシーンをテレビ・コマーシャルに流して誘うのは止めて欲しい。

火炎放射器の凶悪犯がショーケースにつっこみ、燃え上がるタンクローリーが空中に高く爆発する。高層ビルの中を駆け抜けるカーチェイス。ハイウェイへ一直線のカースタント。本シリーズは、このようなダイナミックなシーンがあるから楽しめるのだ。メル・ギブソンとダーニー・グローバーの掛け合いやレネ・ロッソやジョー・ペシのクセモノ演技。また、クリス・タッカーとジェット・リーの新参組など確かに見ごたえは十分だった。しかし、見終わったあとモヤモヤ感が残り、なぜか釈然としない。その理由をよく考えてみると、『リーサル・ウェポン4』には、テレビ・コマーシャルで見た映像以上の見せ場がほかになかったからだ。

映画の宣伝はそれではいけない。映画を劇場で見る意義は、大きなスクリーンで見る特権的な体験だけではなく、たとえ小さなテレビ画面であろうとも、一番の見せ場をテレビ・コマーシャルで見せてしまうCM戦略は、資本主義の世界でも禁じ手だ。観客になろうとする一市民に映画全体を見たように錯覚を起こさせてしまうテレビCM戦略は逆効果のなにものでもない。映画館から客離れを誘発する原因にもなりかねないこのCMに危惧を感じたのは私だけだろうか?

1998年8月