第6回かながわNPO映像祭 〜あらたな出会いと、つながりを求めて〜
平成27年2月8日(日)新堀ライブ館3F 楽友ホールにおいて『第6回かながわNPO映像祭』が開催された。今回は41作品の応募があった。その中から入選25作品が選ばれ、さらに審査委員によって優秀作品賞5作品、最優秀作品賞2作品が選ばれた。今回の入選作品のほとんどが3分以内であったが、参加している人たちはみな生き生きとしていて、また人柄がにじみでていて、こちらまで嬉しくなった。
高校生、大学生による恊働作品は、藤沢総合高校の今村先生やクラーク記念高校の斎藤先生、専修大学の福冨先生、産業能率大学の柴田先生、小田先生などのご指導により応募数的にも作品の質的にも充実がみられた。気がかりなのは、一般部門の応募作品が少なくなっていることだ。NPO自らビデオを使って発信するという本来の目的が滞ってきているように感じる。一般部門を増やすために、神奈川県による強力なサポートと湘南市民メディアネットワークが地域のNPOにビデオ制作講座を数多く働きかけるなどの対策が必要である。今回の特別プログラムとして『Music of Mind』のミニライブ。『特命子ども地域アクタープロジェクト』(特非)ミニシティプラスと『地域でつながるワカモノ×NPOインターンシッププログラム2014』(認定特非)藤沢市市民活動推進連絡会の紹介と映像上映が行われた。
★ 一般部門最優秀作品賞
■「Music of Mind〜ぼくらはひかりのてんし〜」 (特非)Music of Mind

知的障害者のグループ「Music of Mind」。歌やダンスで皆を幸せな気持ちにしたい、そのため
に毎日練習をして、仕事として認めてもらい、活動したい。知的障害者が生声で訴えつつ、下段
にテロップを流しメッセージを伝える。彼らの表情と生声と音楽とでとてもよく出来たビデオで
ある。
★恊働部門最優秀作品賞
■「笑顔の輪」 (特非)車いすレクダンス普及会/クラーク記念国際高等学校
お年寄りの笑顔をつくっていきたいと車椅子に乗りながら遊びができるダンスを考案。講習終
了後に老人ホームへ出張など高齢化社会への貢献が見える。折角、団体の人に出演をしてもら
ったのだから名前をテロップで入れてあげたらどうだろうか。誰に連絡をしたらよいかわかる
と安心するものだ。
★恊働部門優秀作品賞
■「金子牧場竹炭くらぶ」 金子牧場竹炭くらぶ/鶴見総合高校
竹炭を擬人化して話を進行させるのはマル。竹炭ができるまでの説明は興味を覚えるが、残念な
がら話をしている人の顔が見えない。しかし、苦労の末の竹炭制作技術を惜しげもなくオープン
にしているのがよい。
■「イルミネーション湘南台」 イルミネーション湘南台実行委員会2014/藤沢総合高校
暗い道路を歩く足下を捉えたカットと学校に向う足取りの重い女生徒後ろ姿が一見意味をなして
いないと見えるが、実は授業中に居眠りのカットをいれることにより塾で帰宅が遅いことが想像
できる。短い作品ながらラストのイルミネーションと人のシルエットが爽やかさと余韻を残して
いる。
■「あなたの老後に潤いを」 (特非)かわさき市民アカデミー/専修大学
CGアニメの老夫婦の対話で市民アカデミーの活動を紹介。市民による市民のための生涯学習センター。「これから何か新しく学びたい」「学習の成果を地域に貢献したい」「新しい人間関係をつくりたい」がコンセプト。結ばれている映像カットがどれも素敵。絵も安定しているし、参加者も楽しそう。撮影素材がしっかりしていて、見ていて気持ちよい。老夫婦の声の主はどんな人だろう?
■「いつでも、しゃべり場」助産師が運営するコミュニティサロンしゃべり場(川崎市)/専修大学
コミュニティサロンを経営する鈴木寄里枝さん、田中桃代さん。お二人の賢明さと意思疎通がコ
ミュニティサロンの魅力だと思う。生を生業としてきた人生経験が包容力と安心感を他者へ与え
る。「考えを整理してあげる」「背中を後押ししてあげる」という発言力は、謙虚さの中にも自
信の表れだと素直に感動した。
■ 「善行あいの会PR」 (特非)善行あいの会(藤沢市)/神奈川大学/文教大学/産業能率大学
出あい、ふれあい、支えあい。地域で子育てを応援。会の雰囲気が伝わるビデオ。主催者土屋啓
子さんも顔を出して肉声で話をしている。お母さんたちの声も収録、子供と2人でいると追いつ
められるときがあるという。そんな若いお母さんたちの悩みを発露する場でもある。ラストの写
真コラージュも奥ゆかしい。
★入選
■「シネコヤ」 シネコヤ/大師高校/横浜総合高校/横浜清陵高校
藤沢・鵠沼で映画上映を始めたシネコヤの企画運営者竹中さんと会館(アイビーハウス)のオーナー佐藤さんを取材。取り上げたお二人は良いが、逆光に応じた撮影が残念ながらなされていない。場所もいまひとつ不明で、地図で鵠沼駅からの道順を説明するなど工夫が必要である。
■「一心一」 (特非)一心一「いっしんよこいち」/神奈川総合産業高校
一心一の代表加藤さんを取材。引きこもりから自衛隊入隊、ディズニーランドの清掃員の経歴を
生かし、NPOを起業。高校の先生よりの「自分から逃げるな」の一言で再生した経緯が泣かせる。
BGMが大きくて、声が聞こえづらいのが難点。
■「理事長 片山物語」 (特非)湘南ビジョン研究所/藤沢総合高校
冒頭のテロップが映画の予告編のように期待をもたせる。理事長片山清宏氏登場の音声が聞こえ
ないのが気になったが、よくよく見ると味わいがある編集になっている。テロップの使い方がう
まい。代役による再現イメージも抱腹絶倒だ。彼が目指すもの「ブルーフラッグ」という世界46
カ国で展開されている環境認証である。
■「湘南台みんなの輪」 湘南台みんなの輪/藤沢総合高校
65歳以上のデイサービスを運営している『みんなの輪』の青木さんと土屋さん。紹介はあっさり
だが、主催者の顔が見えていることに共感を覚える。コマ撮り撮影もよく出来ている。連絡先の
電話番号が書かれているのがよい。
■「サムライ、未来で働く〜社会復帰を支援する月一の会〜」(特非)月一の会/クラーク記念国際高等学校
現代社会に適応できない若者たちの現状を、暗喩的にかつらをかぶった青年のコスチュームで提示する演出に感服した。「なるほど」とうなずかせる作品。報告書のみみず文字もアクセントとして面白い。しかし、コーヒーの出し方やネクタイの締め方を正しくすることで“社会復帰”できるという画一的なはめ込みに違和感を感じたのは私だけだろうか?
■「動物たちの正義の味方」(特非)野生動物救護獣医師協会神奈川支部/クラーク記念国際高等学校
擬人化したネコ、犬、ハトたち。意義ある自然動物保護活動の紹介の中に、食べ物の話から運営
費捻出の苦しさも盛り込まれ身につまされる。また、震災を人災とみなしている作中のメッセー
ジが考えさせられる。会話が弾む動物たちのアフレコは何人でやったのだろう。
■「あなたの居場所 フリースペースえん」(特非)フリースペースたまりば/クラーク記念国際高等学校
白黒写真のモンタージュから女の子の泣き声。居場所のない子供たちの場づくりをしている『フリースペース えん』のモットーを写真でつなげ紹介。居場所がない悲しみで心が冷えている境遇を話している時は白黒写真、「フリースペースえん」の話の時は、写真がカラーに変わる。作者の意図が汲み取れる作品。写真がベースなだけに言葉で説明し過ぎる点がうるさく感じる。
■「地域の学び舎 むじなが寺子屋」 むじなが寺子屋/専修大学
川崎市麻生区白山地区の子供たちに無料で勉強を教える『むじなが寺子屋』を開学。代表の岡部
遼太氏をはじめ、関わっている人の人柄がビデオからにじみ出ている。現代版寺子屋の発展を心
から祈りたい。
■「市民をつなぐぐらすかわさき」 (特非)ぐらすかわさき/専修大学
寺子屋、健康麻雀、親子広場、マクロヴィオティック料理教室、レンタルスペース、メサ・グラ
ンデなど市民活動を応援しているNPO。たくさんの活動情報を盛り込んでいるが、人に伝える為
の工夫がなされていないので映像が心に届いてこない。活動の目的や位置づけ、場所などを図表
にして視覚的にまとめることが不可欠な作品。
■「WEショップ・たかつ見聞録」 WEショップ・たかつ見聞録/専修大学
カンフー好きの青年(斉藤瑞生さん)がWE21を訪れ、活動内容について学んでいくというストーリー。カンフー映画の手法や効果音、ニセ中国語?を駆使したエンタテインメント仕立ての作品で楽しく鑑賞できた。ビデオの目的である「寄付金募集中」「メンバー募集中」のメッセージは作中に見事に収まっている。
■「出会いからはじまる多文化国際理解教育」 (特非)KFV/専修大学
活動内容は伝わるが、写真のワンカットワンカットのつなぎが早くて疲れる。また、音楽も落ち
着かない。「多文化共生社会」を語る金さんのしゃべりは好感がもてて、心暖まる。
■「おしえて!くぅもん」 (特非)環境研究会かわさき/専修大学
理事長井上氏の言葉から川崎市の公害の歴史を残す、伝えるという意義がひしひしと感じてくる。もと川崎市民として昔を思い出させる。くぅもんがかわいい。
■「東海道のススメ」 (特非)神奈川東海道ウォークガイドの会/産業能率大学
1日だけウォーキングに参加して、撮影、編集した作品。見ていて何も残らないのは、表面的で
中身がないからだ。会をひっぱる魅力的な参加者がいるはずなので、参加者にインタビューする
など、もっとコミュニケーションをとるべき。心がこもっていない作品と言っては失礼だろうか。
■「ひまわり〜笑顔になれるリサイクル〜」(特非)くらし・環境・再生ネットワーク/産業能率大学
リサイクルショップひまわりの活動を紹介。淡々と流れる写真と音声。アニメも使っているが効
果的に使われていない。ネパールに学校建設は素晴らしい。どうやって取材先を見つけてくるか
気になる。ナカノ株式会社についてもっと調べるなど、つっこみが足りない。新たな視点を加え
ればもっと幅が広がったのに惜しい作品である。
■「神奈川福祉移動サービスネットワーク」神奈川福祉異動サービスネットワーク/神奈川大学/文教大学
障害者や高齢者の外出支援サービス。神奈川県で支援が必要な人、72万人、8%。理事長の清水
弘子さんは、外出することにより、人とふれあい、元気に笑顔になるという。この活動を続けた
い、広げたいと自らメッセージを語る。出演者やワーカーの人が生き生きとしていて共鳴できる。
■「学習サポート・スコラ」 学習サポート・スコラ/神奈川大学/文教大学
横須賀中央駅近くで運営。生徒数45名マンツーマンスタイルで学習。発達障害の生徒のために
教材に様々な工夫がなされている。数多くの作品に言えることだが、取材される側の声が聞き
取りづらい。本作では、外の車の音や雑音、BGMなどが邪魔している。スコラ運営側の顔は見
えているので、もうすこし見る人の気持ちを考えた丁寧な作品作りが望まれる。
■「みんなの居場所 花いちもんめ」 綾西コミュニティビジネス花いちもんめ
綾西(りょうせい)バザール商店街にある「花いちもんめ」。一言でいうと面白みがないビデオ
である。クリスマス会で女性がピースしているシーンと最後に拍手の効果音を入れているのが救
いだ。映像が弱いのでナレーションに力を入れたい。
■「地域活動支援センター Café de そーじゃん」 カフェ・ドゥ・そーじゃん
馬、パンダ、キリン、たぬきなどのかぶり物の若者たち。伝えたいことはわかるが最後にかぶり
物を脱ぐなど映像の力でメッセージが欲しい。住所、電話番号などの連絡先をラストにもってい
ったのはPRビデオとしては満点。
※審査委員
手塚明美(NPO法人藤沢市市民活動推進連絡協議会理事・事務局長)
川合康央(文教大学情報学部准教授)
阿比留久美(早稲田大学非常勤講師)
中岫昭仁(市民がつくるTVF理事)
2015年3月



