2023年度劇場鑑賞作品

2023年は、22年11月に35年間勤めた会社を定年退職し、12月末には実母が急逝し、慌ただしく新年を迎えた。年明けすぐに葬式を執り行い、12月初旬に申し込んでいた職業訓練のWeb制作講座も始まった。6月にやっと再就職が決まり、日常を取り戻してきた。そんな訳で、今年の劇場で観た映画の本数は18本。残念ながらベストテンを選ぶには厳しすぎる年になった。

(c)2023「怪物」製作委員会
出典:公益財団法人ユニジャパン

1月 (1本)
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』  監督:ジェームズ・キャメロン

2009年に公開された第1作目から12年後に公開された本作。ウィキペディアによると、4本の続編製作がキャメロンと20世紀フォックス間で契約が結ばれているそうだ。先進性を極める美術、撮影、視覚効果などの続編を待ち望んでいる。

『銀平町シネマブルース』 監督:城定秀夫

最近映画館を舞台にする作品や映画制作をモチーフにした作品が多くなって混乱している。作品評にはならないけど、大学時代に捥り(もぎり)のアルバイトした『紅座』、映写のアルバイトをした『綱島映画』、飲食店でアルバイトした『横浜東宝会館』、そんな青春時代を、映画を観ながら思い出す。

『フェイブルマンズ』 監督:スティーブン・スピルバーグ

客席数が少ないシネコンだったため、より大きな画面=スクリーンで映画を観たかったので、2列目確保。いざ、席に座ってみると、スクリーンは首をかなり後ろにそらさないと見えない位置。「年寄り(自身)には困ったな、一緒に観に行った妻にも申し訳ないな」と思いつつ、本編が始まると、仰角ショットの連続で、映画の神はまだ私を見捨てていなかったと、幸福な気分に心が変化した。

『シン・仮面ライダー』 監督:庵野秀明

当然のことながら、テレビ越しに憧れたヒーローの一人。本作のストーリーや演出にあまり興味がないものの、出演者たちの配役やコスチュームにはかなり食指が動いた。それにしても、クレジットで流れる藤浩一(子門真人)氏の歌唱力以上に『レッツゴー!!ライダーキック』の作曲家、菊池俊輔氏の曲のダイナミックさにエモーションを感じる。稀代の天才である。

4月 (2本)

『エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス』 監督:ダニエルズ

第95回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演女優賞など7部門を受賞し、日本では「エブエブ」と呼称されヒットした。ミッシェル・ヨーやキー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティスなど芸達者が揃い、かなり風変わり作品だけれども、綿密に構成された内容で面白かった。

『東京リベンジャーズ 血のハロウィン編 -運命-』 監督:英 勉

続編が同時に製作されるようになったのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2(1989年公開)、Part3(1990年公開)』からだろうか?この2作は元々1本の長編作品で、興行的にもクオリティ的にも妥協したくなかったので、2作に分割したらしい。本作の続編公開が2作控えているとなると、三部作の中間に位置する本作は少しパワーダウンの感が否めなかった。

6月 (2本)
『ワイルド・スピード ファイヤーブースト』 監督:ルイ・ルテリエ

ワイルド・スピードシリーズ、スピンオフ作品を含め、13作目。I MAXで激賞。カーアクションが素晴らしく、回を追うごとに話も、アクションもスケールが大きくなっていく。その過度な演出をどう判断するかは好みにもよるが、車好きでなくてもこの壮大さに目を見張る。前作では(生きて)ハン・ルーが戻ってきたが、今作では誰が戻ってくるか、涙なくしては見られない。

『怪物』 監督:是枝裕和

第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞。『花束みたいな恋をした』の坂元裕二とタッグを組んだ是枝裕和。“裕裕コンビ”を結成。いい仕事をしました。捻りが効いた脚本と曲者揃いの演者。それぞれの良さを引き出す演出。ラストの少年たちは生きているのだろうか?

7月 (2本)

『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』 監督:英 勉

1作目が結構インパクトが強くて、ケンカアクション/メイクアップも凄かった。高校生役の今田美桜も正直、初め誰かわからなかった。続編も若い売れっ子俳優たちが、総動員され愉快なのだが、物語的に安心要素が多く、喧嘩の舞台となる倉庫も装置として緊迫感が欠けているように感じた。

『インディージョンズ と運命のダイヤル』 監督:ジェームズ・マンゴールド

インディー・ジョーンズシリーズ 5作目。スピルバーグが続編を監督したのは、ジュラシック・パークシリーズと本シリーズだけだそうだ。今作は、『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールドが監督した。オリジナルをリスペクトし、正統に受け継いだ作品として評価したい。

8月 (3本)

『ミッションインポッシブル デッド・レコニング Part1』 監督:クリストファー・マッカリー

それにしてもシリーズものが続く。M Iシリーズ第7作目。イタリア観光市街を縦横無尽に駆け巡るカーチェイス。ワイスピシリーズや007シリーズとごちゃごちゃになり、頭が整理できない自分がいる。ユーチューブでメイキングを見ると、スタントマンでさえやりたくないと思われるアクションシーンを命懸けでこなすトム・クルーズ。彼には不死身の身体を与えて欲しいと願わずにはいられない。

『君たちはどう生きるか』 監督:宮崎 駿

宮崎作品には、宗教的、神事的な意味合いも多く含まれているらしく、私にはうまく消化できない。何年もかかって構想し、イメージボードや絵コンテを作成、アニメーターたちとベクトルを合わせながら何年もかかって制作するアニメーションを1回見ただけでは理解できていないことを正直に告白する。

『ジュラシック・パーク シネマコンサート(30th anniversary)』 監督:スティーブン・スピルバーグ

友人からシネマコンサートの魅力を聞いていたが、想像以上に良かった。オーケストラと映画ががっぷり四つを組み、映画の魅力を最大限に拡大する。スピールバーグの映画は、ほとんど見ているが、『ジョーズ』『未知との遭遇』『プライベート・ライアン』『レディー・プレイヤー1』も大好きだが、映画の完成度、斬新さ、ジョン・ウィリアムスのオリジナル・スコアとのマッチングなどを考えると、もしかすると『ジュラシック・パーク』が一番好きな作品かもしれない。

10月 (3本)

『リテイク』 監督:中野晃太

2023年度第45回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)グランプリ作品。監督の中野氏はかなり年下だが私の親しい友人で、今作製作のためのクラウドファンディングにも協力させていただいた。映画にいろいろな仕掛けがあり、ネタバレしてはいけない内容なので、多くは語れないが、ジャンルは恋愛映画ではなく、教育映画だと私個人としては思っている。

『グランツーリスモ』 監督:ニール・ブロムガンプ

車がメインストリームの作品に心惹かれるこの数年。本作の『グランツーリスモ』で最高潮に達した。友情やレースシーンはもちろんのこと、父子愛がサブテーマに流れていて気持ちがいい。宣伝惹句の“True Story”と“Game”を絡めた危険な話題作と憂慮していたが杞憂に終わった。

『まなみ100%』 監督:川北ゆめき

久しぶりに邦画のパンフレットを買ってしまった。タイトルがなんとなく気に入って、劇場まで足を運んだ。主人公のボク(青木柚)の生き方の軽さとまなみちゃんの異質な軽さが微妙な違いによって、不安定な空気感を作り出している。「若いっていいな」とふと漏らしてしまう映画である。ラストでは、前職メーカーの業務用ビデオカメラが出てきて別の意味で感動してしまった。

11月 (1本)

『ゴジラ −1.0/C』 監督:山崎 貴

日本のキラーコンテンツ“ゴジラ”を第二次世界大戦後の世界に出現させて、核の脅威と戦争の愚かさ、生命の尊重を訴求した。わが映画のミューズ浜辺美波は、特撮物のミューズとして、今年八面六臂の活躍をした。伊福部昭が作曲したゴジラのメインテーマ曲は、ピクシブ百科事典によると、自作の『社長と女店員(オープニングテーマ)』をアレンジしたもので、楽曲のメロディーはフランスの作曲家モーリス・ラベルが制作した協奏曲『ピアノ協奏曲ト長調 第3楽章』 に影響を受けていたされている。確かに納得する。

12月 (1本)

『首』 監督:北野 武

予告編の水面を流れるカメラが素晴らしく、日頃北野武作品を敬遠している私も鑑賞したくなった。ティム・バートンの『スリーピー・ホロウ』を超える首の切断シーンの数々。直視に耐えないが、タイトルが首だし、テーマも首なので仕方がない。それにしても、信長も秀吉も最後まで、天下が取れず、求める首も取れずに終わったのが映画の結論であり、史実。ところどころに、含蓄に富んだ言葉(人生訓)があり、はっとさせられる。