2019年上半期劇場鑑賞作品 Part1

年初に今年映画館で月3作品、合計36作品、観ることを目標に掲げた。6月も終わり、上半期に観た映画は19本、かろうじて年間目標の半分を達成した。引き続き後半戦に突入したいが、その前に頭を整理するためにも簡単に感想を書き留めておきたい。19本ではベスト10を選べられないが、ベスト3くらい挙げられたら嬉しい。19本を一気に掲載するのは多いので、2回に分けて掲載したい。

『作品名』 監督 (敬称略)

1月 (4作品)

『バジュランギおじさんと。小さな迷子』 カビール・カーン
 
すべての映画人(アーティスト)は、誰もかれも世界の和平を願いつつ映画を製作していると信じている。インドとパキスタンの宗教間の対立やカシミール地方の領土の問題などは、今後もおそらく氷解できる問題ではないが、映画に関わるすべての人間は、その対立を越えて、映画にメッセージを込めて世界に発信し、届けなければならない。多人数が共有可能な映画というシステムがそれを実現できる。本作のメッセージに大いに泣いた。

『500年の航海』 キッドラット・タヒミック
別途評論を書いているので、ぜひ読んでください。

『十二人の死にたい子どもたち』 堤 幸彦

冲方丁の小説を今注目の杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、橋本環奈など若いキャストで映画化。冒頭上空から神の視点でカメラが降りてきて、若手キャストによる群像劇および演技合戦でドキドキする展開を予想したが、思いの外閉じられた空間の中で、単調な作りになってしまった。監督は『20世紀少年』の堤幸彦。本シリーズ3部作は大きな声で言うのは憚られるが正直その世界にたっぷり没入し、好きな作品だったので、期待した反面、大きな反動もあった。ウィキペディアで調べると彼の誕生日は、1955年11月3日生まれ。11月3日生まれの有名人は以外と少ない。手塚治虫、小林旭、柄本明がそうだ。3人に加えて堤幸彦、そして私も1962年11月3日生まれである。

『マスカレードホテル』 鈴木 雅之

東野圭吾のファン。『秘密』が映画化される前から初期の作品を読み続けていた。こんな凄い作家がなぜ有名ではないのだろうと、ずっと不思議がっていたのが今は昔である。『新参者』シリーズのようにドラマに奥行き感はないが、木村拓哉と長澤まさみの人気者が、がっぷり四つを組んだ作品で素直に楽しみたい。芸達者な脇役陣にも支えられ、映画が成り立っている。フロント、ロビーなどの映画セットが貧弱という厳しい意見もあるが、そういうセットを作るということに意義を見出したい。

2月 (3作品)
『七つの会議』 福澤 克雄

小説を読むのが先か、映画を見るのが先か。どちらかというと私の場合は、小説を読んでしまうと映画を見る気が失せるほうが多い。小説を映像に落とし込むことにあまり興味がないのだと思う。そんな怠惰なことだから「自分で映画を作れないのだ」と自嘲気味にもなるのだが、結論『七つの会議』は面白かったです。
p.s.
『マスカレードホテル』は単純に東野圭吾に思い入れがあるので観に行っています。

『女王陛下のお気に入り』 ヨルゴス・ランティモス

舞台は、1701年から1714年におよぶスペイン継承戦争の時代。アン女王(オリヴィア・コールマン) 、 アビゲイル(エマ・ストーン) 、 レディ・サラ(レイチェル・ワイズ) も実在の人物で、史実とは異なるものの女王の寵愛を得たもの同士の対立を描いた人間ドラマです。しかし、主役はあくまでアン女王で、アン女王を巡って、二人が火花を散らす演技合戦が見ものです。また、魚眼レンズを用いた撮影手法に人間の歪みを表出し、当時に着ていた衣装や宮廷の壁などの美術や装飾品を再現したことも評価されている。歴史に詳しくないのが良かったのか、骨格がしっかりしたドラマなので、観ていて安心=突っ込みどころがない映画でとても満足しました。

『ずぶぬれて犬ころ』 本田 孝義

私の友人である本田さんがクラウド・ファンディングでも資金を調達して、住宅顕心の俳句集『ずぶぬれて犬ころ』を映画化。本田さんの人柄や人間性、映画にかける思いなどを知っている友人や仲間はかなり多いので、映画制作費を補填するお金は集まったようだ。本田さんとの初めての出会いは今でも忘れられない。私が東京ビデオフェスティバル事務局に配属になって間もない頃、本田さんが『科学者として 笑顔と告発』の上映会チラシを事務局に置いて欲しいと立ち寄ったときに、そのチラシを受け取ったのが私だ。質素で慎ましげな身なりの本田さんからチラシと名刺を受け取り、儀礼的な挨拶をして自席に戻りつつその名刺をまじまじと見たところ、彼がその映画の監督だった。これまでメディアに出ている映画監督にはほど遠い印象を持ったのは事実だ。ごめんなさい。あれから20年市民ビデオや自主ビデオの普及活動に身を投じ、本田さんとは何十度となくお会いし、ビデオ作品やドキュメンタリーの話をしたり、依頼事を相談したりした。この時の私の忸怩たる思いを、本田さんに一度も話したことはないが、お詫びの意味を込めてここで告白した。博識で、行動的な本田さんにも仕事の行き詰まりで精神的に不安定な時期があったという。その頃、以前読んだ住宅顕心の『ずぶぬれて犬ころ』が心の中に蘇り、読み直したことが立ち直るきっかけになったという。クラウド・ファンディングのお礼の試写会で映画を観させてもらったが、ビクターのニッパー犬の置物が部屋に飾ってあった。映画とは出会いである。

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出典:公益財団法人ユニジャパン


3月 (2作品)

『運び屋』 クリント・イーストウッド

映画ファンなら誰しも敬愛するクリント・イーストウッドの最新作。いつまで彼が作った映画を鑑賞できるだろうか。いつもそんな一期一会の気持ちで彼の映画と向き合っているのは私一人ではないだろう。最近ではドローンが多用され、本格的な空撮が行われない中、ラストは映画ファンの気持ちを汲み取ったヘリコプター撮影で観客を画面に引き込む。イーストウッドとブラッドリー・クーパーとの再会に涙する自分は幸せであると実感する。

『グリーンブック』 ピーター・ファレリー
評論文を書いています。ぜひ、読んでください。


出典:ハピネットピクチャーズ https://www.youtube.com/watch?v=MtSt8IJVR5o