2018年劇場鑑賞作品
2018年度ベスト1 レディ・プレイヤー1
久しぶりに年間どのくらいの映画を劇場で観ているのか確かめてみた。2018年は15本だった。単純に均すと月1本ペース。子どもの付き合いで3作品を2回観たので、延べ18本。月1.5本のペースになる。たくさん観たという手応えはないが、昨年は、そこそこ観たなという印象。学生時代の150〜200本には到底及ばない。なぜ、そんなに観られたか不思議だと思うだろうが、学生時代、関内の『横浜東宝』内にあった飲食店でのバイトや母校の最寄駅白楽にあった『紅座』でのもぎり、『綱島映画』の映写アルバイトなどをやっていたからである。当然のように2番館での2本立て3本立て、オールナイト5本立て、ロマンポルノ、ピンク映画も、昼食のお金を節約して、よく観に行きました。前置きはさておき、全体を見渡すと、洋画8本、邦画7本、かろうじて洋画の本数が多い。学生時代は9割洋画だったのを考えると、歳をとってくると視力の関係か、思考力の関係か、定かではないが、邦画の方がどちらかというと好みであるし、邦画の方が作品的に興味もある。今回のブログは、作品についての所感を思いのまま書き綴りてみたい。
『スリー・ビルボード』
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
監督・脚本・製作 マーティン・マクドナー
『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド(ミルドレッド)の圧倒的な存在感に打ちのめされた。サム・ロックウェル(ディクソン)の悪徳警察官ぶりも、憎たらしくてよかった。ラストは結果を描かず余韻を残して締めた。街道に立てられた3枚の大型看板が火事になったシーンも忘れられない。
『15時17分 パリ行き』
THE 15:17 TO PARIS
監督 クリント・イーストウッド
実際テロに遭遇した3人を素人であるにも関わらず、本人(当事者)であることから映画の主演に起用し、再現するという意欲的な取り組み。通常、劇映画において役柄(俳優)と本人は別物で虚構の存在であるが、今回イーストウッドは、その映画を観ている我々観客と俳優=当事者を同化させ、テロに立ち会った実在の人物=当事者の恐怖と勇気を擬似体験させる試みに成功した。おそらく、このような関係性は自主映画では有りなのかもしれないが、ハリウッド映画において、本人(当事者)=主演俳優(当事者)、主演俳優(当事者)=観客(当事者になりうる人々)、本人=観客(当事者=当事者になりうる人々)という新たなキャスティングの扉を開いた。ドキュメンタリー的というよりむしろ当事者という視点でビデオ的な映画である。
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
The Post
監督・製作 スティーヴン・スピルバーグ
輪転機から次々と送り出される新聞紙面。映写機の映画フィルムが回転して、巻き取られていくような感覚と同期する。このシーンを観ただけでも、映画的な興奮に浸れる。新聞社の映画なので、絶対輪転機が出てくると思ったので、実際想像していた通りだった。このような視覚に響く作品をこれからもスピルバークには作ってもらいたい。
『ダンガル きっと、つよくなる』
DANGAL
監督・脚本 ニテーシュ・ティワーリー
アミル・カーン主演。二人の娘を持つ父親にはたまらない作品。レスリングの試合におけるアナウンサー実況のヒンドュー語は、心地よいリズムとしてBGM効果がある。映画音楽を越えて、高揚する感覚が、自律神経を整えてくれるかのようだ。また観たくなる作品だ。特別な身体能力を持つ子どもの親には子育て映画として役立つかもしれない。
『レディ・プレイヤー1』 (2D&3D)
Ready Player One
監督 スティーブン・スピルバーグ
2018年のわたしのベストワン作品。2Dと3Dバージョンで鑑賞。これからますます注目されるアバターとVRの手法を駆使して映画の本質に迫る。『ジョーズ』や『インディー・ジョーンズ』、『ジュラシックパーク』に続く、エポックメーキング映画。こんな映画を作り続けるスピルバーグを尊敬する。
『万引き家族』
監督・脚本・編集 是枝裕和
一つ屋根の下で暮らす疑似家族の崩壊を描くことにより、本当の家族とは、血のつながりだけではないというテーマをあぶり出してしている。是枝監督の演出論は知らないが、出演者の演技に支えられた映画であることは間違いない。

出典:公益財団法人ユニジャパン
『空飛ぶタイヤ』
監督 本木克英
サザンオールスターズの『闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて』が主題歌になっている。予告編の音楽が良いとその映画が見に行きたくなる。映画の所感は、テレビの2時間ドラマを見たかのように記憶に残らなかったが、2月公開の池井戸潤原作、野村萬斎主演の『七つの会議』は楽しみだ。
『カメラを止めるな!』
監督 上田慎一郎
映画愛に満ち溢れた作品で、2018年度を代表する作品。ラストはトリュフォーの『アメリカの夜』だ。ヘリコプター撮影がいまではドローンという撮影機器で容易にできてしまう。使用環境に十分注意する必要があるが、映画制作環境としては素晴らしい時代になったと思う。私の友人安東恭助氏の映画『俺にさわるな!』(監督山家浩)に出演した細井学さんも同様なキャラクターで出演していて驚いた。
https://www.youtube.com/watch?v=G8em4sRrPUk
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
Jurassic World: Fallen Kingdom
監督 J・A・バヨナ
恐竜を蘇らせて、映画館のスクリーンに映し出すという第一作をさらにスケールアップ。第一作を超える衝撃はないが、娯楽映画としては最高レベル。常にスケールアップをして、新作を発表して欲しい。メインテーマ曲を作曲したジョン・ウィリアムスは偉大だ。
『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』
監督 西浦正記
脚本 安達奈緒子
演出の映画というより、脚本の映画である。安達奈緒子の言葉が心を震わす。ハラハラドキドキ感に欠けるが、出演者の生き生き感は、観ていて気持ちが良い。本当はどうかわからないが、みんな仲が良さそう。テレビと変わらぬ主題歌Mr.Childrenの『HANABI』が最高です。ミスチルファンになって、ライブDVD(ap bank fes LIVE)を何セットか買ってしまいました。
『検察側の罪人』
監督・脚本 原田眞人
最近気がついたことがある。面白くなかった映画の感想は、「なるほど、こういう映画だったのね」というコメントがつい口に出てしまう。映画なので、木村拓哉、二宮和也、吉高由里子がそれぞれに個性を出しているのは好感が持てるが、結局こんな作品(結末)だったのね。原作は面白いのだろうか。
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
監督・脚本 大根仁
広瀬すずは演技が上手いのか、正直よくわからない。歌手であれば、歌が上手いという評価基準として、音域の高低や音程を外さないとか、声量とか、付帯的に作詞、作曲ができるとかで判断も可能だと思うが如何でしょうか。個人的には、山本舞香の可愛さの方が印象に残った。また、ともさかりえの演技に心撃たれた。羽仁進監督が(具体的にどんな状況で言っていたか覚えていないが)「映画を作るなら、ともさかりえは外せない」というようなことを言っていた。大昔に友人に演劇を薦められて鑑賞したのが、鴻上尚史演出、ともさかりえ主演『トランス』であったことを記憶の外から思い出した。個人的な好き嫌いで評価する気は毛頭ないので、広瀬すずを映画的にもう少し研究したい。
『止められるか、俺たちを』
監督 白石和彌
若松孝二の映画闘争を描くとともに、そこに参画した一人の女性、吉積めぐみ(門脇麦)の短い人生を描いた作品だ。門脇麦は、ブルーリボン賞で最優秀主演女優賞を受賞しました。しかし、今回はここで述べたいのは、この映画を撮ったビデオカメラである。JVCのレンズ交換式4Kメモリーカードカメラレコーダー『GY-LS300CH』で全編撮影したとのことである。つまり、私の勤めている会社のビデオカメラである。当たり前のように思えるが、約50万円のカメラで劇場映画をワンカットの破綻もなく、撮りきってしまうことは簡単ではない。キャメラマン辻智彦の腕は敬服に値する。
若松孝二作品といえば、古い思い出がある。大学1年の時に新宿のオールナイト5本立てを観にいったが、1本目の『犯された白衣』を観て途中で気持ち悪くなって挫折した。もしかして周りに迷惑をかけていたかもしれないが、一晩中映画館で寝ていた。今度、DVDを買って作品を観てみようと心に誓った。
『ボヘミアン・ラプソディ』
Bohemian Rhapsody
監督 ブライアン・シンガー
監督は、途中降板したらしいが、マイ フェイバリット ムービー『ユージュアル・サスペクツ』『パブリック・アクセス』『ゴールデン・ボーイ』を手掛けた監督だ。『ゴールデン・ボーイ』は、東京映画祭において渋谷オーチャードホールで特別上映された。監督も来日し、ファンになっていたので、一目見たい、会いたいと思いで映画を観にいった。メイキャップもあると思うが、役者が皆QUEENメンバー本人にそっくりでびっくりした。
『アリー/ スター誕生』
A STAR IS BORN
監督&製作 ブラッドリー・クーパー
『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーが監督、主演した名作のリバイバル作品。冒頭のコンサートシーンの音響とレディ・ガガがコンサートの舞台に呼び出されて歌うシーンは素直に感動した。レディ・ガガがアカデミー賞にもノミネートされているほど演技の評価が高いが、どんな演技をしているんだろうと目を皿のように観ていたら、何とも素晴らしい、歌手とは思えないほどの演技力だった。門外漢のスター主演映画にありがちな大声でどなったり、騒いだり、泣いたりするような過剰演出を想像していたが、まったくそんなことはなかった。逆に静かなシーン、ブラッドリー・クーパーに寄り添うシーンのナチュラルさが何ともかいがいしいのである。アカデミー賞は、俳優にとってもらいたいが、レディ・ガガがとっても何ら不思議でもない。
追記:映画評論家の町山智浩氏がTV番組でレディ・ガガは、アクターズスタジオで演技を学んでいたと言っていた。あの演技力はそういう背景の上に成り立っていることを改めて実感した。
2019年2月



