インディペンデンス・デイ
―アメリカ映画復活の日―

" ナスタチウム 花言葉 『愛国心』 "

映画は映画館で見るものだと、当然のことと思っていた時代から、レンタルビデオで見るのが当たり前という時代に突入してもうどれくらい経っただろうか。そして今まさに何百チャンネルというデジタル放送がこの日本で到来しようとしているこの時期にディーン・デブリンとローランド・エメリッヒは我々に警鐘を鳴らすべくとんでもない映画を落としていった。
この映画のエッセンスには『スター・ウオーズ』あり『ジョーズ』あり『エイリアン』あり、挙げ句の果ては『ポセイドン・アドベンチャー』や『タワーリング・インフェルノ』、はたまた『ライトスタッフ』までちりばめられているではありませんか。ここまでアメリカ・ハリウッド映画の醍醐味、凄さを見せつけられて、なんだかハッピーな気分になってしまうのは国賊ものであろうか。(いつものように、日本人はどこの国の人間がいつの時代の軍隊を演じているのか分からない)。
この映画の第一の成功は、宇宙からの侵略者が大都市を爆破する部分を、おもに昼間のシーンの中で構成し、前半に導入したことだろう。これまでのパニック映画は映画のスペクタクルを最大限に引き出すため、暗い夜や、深海、もしくは宇宙空間や閉塞空間などの背景を利用して盛り上げていくのが常套手段だった。しかし、この映画はCG技術と巨大模型ユニットと特殊効果撮影を駆使して破天荒なフィルムとして完成したのである。
第二の成功は、パニック映画につきものの大スターが出演していないにもかかわらず、今まで映画を支えていたバイプレーヤーたちが主役を演じ、主役の役割をしているのがおもしろい。アル中のランディー・クエイドはジーン・ハックマン、ウィル・スミスはサム・シェパード、ジェフ・ゴールドブラムはさしあたってリチャード・ドレイファスといった役どころか。出演者たちを過去の娯楽ハリウッド作品の登場人物たちと重ね合せてみると面白い図式や引用の発見など、密かな楽しみがまた一つ増えた。大スターなしで群像ドラマを大胆にも描いた二人の手腕にただただ脱帽すると同時に、我々ももっとキャスティング・デザイナー遊びを楽しんでもいいのではないかと感じた。
1996年12月



