セブン

―病弊した都会の空の下にー

" クローバー 花言葉 『報復』 "

Seven© 1995 New Line Productions, Inc. All rights reserved. © 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

まず一番の驚きは、この映画の上映時間が126分であるという事だ。7つの大罪に基づいて殺人が繰り返されているのだがその殺害シーン1つなしに写真で示し、2時間あまりがあっという間に過ぎてしまった事実に驚かずにはいられない。

この映画は人々に不快を与えるパワーがある。降りしきる雨の中に退廃した部屋や街並、複雑に入り組んだ建物や路地がまるで、とある戦争で太平洋上に沈んだ沈没船をイメージしたような、都市作りが的確に現代の病巣を造形しているのに成功しているからだ。
また死体のグロテスクさや、血のぬかるみ、激しい雨や地下鉄、ヘリコプターの音とノイズ音楽があまりに大量に私たちに叩きつけるので、それが最終的に感覚を麻痺させてしまう。さらに私が一番感心したのは、ブラット・ピットが飲んでいるコーヒーがいつもぬるくて、苦くて、まずそうに描かれている点だ。コーヒーを暖かくて、美味しい、心落ち着かせる代名詞的アイテムとしてうまく演出できる監督は多いが、こんなにまずそうな映画のコーヒーを見た記憶がない。

ブラット・ピットは犯人を追跡し追いつめたつもりが、逆に土砂降りの雨とレインコートの中で顔の見えない犯人に銃口を突き付けられ絶体絶命のピンチに合う。ここから二人の闘いは驚愕のラストに向かっていっきに疾走する。犯人を刑務所にぶち込むために犯人の罠に果敢に挑む二人の刑事。おとり捜査によく使われる小型マイクや護衛用のヘリコプターなど3者のやりとりの中に、映画的なシークエンスを見事に構築した演出。デビット・フィンチャーに心より拍手を送り、それを支えたスタッフに敬意を表したい。

1996年3月